通訳ガイド日記:十人十色 ~外国人みんな違って面白い~

通訳ガイドをしています。沢山の外国人から受けた驚きを記録していきます。たまに、自分の旅やガイドのことも書いていきたいと思います。

台風でもへっちゃらなアメリカ人と心優しい静岡人

台風の日に、アメリカ人家族を富士山のガイドをしたときの話です。

 

前日から台風が静岡に上陸する予報でした。

あ~行きたくない。

新幹線とまるかも。

どうせ富士山見えないし。

 

でも、静岡に行かなきゃならない理由がありました。

東京のホテルはチェックアウトし、日本平のホテルにチェックインする日だから。

もしご家族が日本平のホテルに当日キャンセル料を払い、東京のホテルを予約したら、台風の静岡にいかなくてすみますが、そんなことするわけありません。

お金かかるし。

 

私の願いはただ1つ。

あ~富士山に行かなくてすみますように!

富士山は行ってもどうせ見えないし、ホテル直行を希望されるかもしれません。

願望です。

 

当日、家族を迎えにホテルに行きました。

台風が上陸することはすでに知っていました。

 

富士山は見えないこと。

嵐で命の危険があること。

色々伝えたあと

 

「台風でも、富士山見えなくても絶対に富士山に行きたいの。」

 

は~

行くしかありません。

基本、決めるのお客様。

 

富士山に行く前の久能山東照宮で私たちはびしょ濡れ。

傘がさせる状態ではありません。

 

びしょ濡れのまま、ハイヤーに戻ったら

ハイヤーの運転手さん、いやな顔一つせず、タオルを用意して待っていてくれました。

あ~感謝!!

 

そして髪は洗った後のような状態で、予約していたランチのお寿司屋さんへ。

お寿司屋さん、「こんな雨の中ありがとうね。」と優しい笑顔。

ほっとします。

美味しいランチをゆっくり食べた後、子供たちにお菓子をくれました。

「雨だけど気を付けてね。」と。

 

そしていよいよ富士山へ。

富士山にはお土産屋さんがあります。

行くことを伝えておいて、開けておいてもらえることになりました。

静岡の人、本当に優しい。

「わざわざきてくれるもんね。開けておくよ!待っているよ!」って。

お客様が何も買わないんだったら、私が何か買おう!

 

土砂降りの中、富士山へ。

案の定、何も見えず。

奇跡は起こりませんでした。

 

でもお店は開いていて、というか、私たちのために開けておいてくれて

「いらっしゃい。」と温かい笑顔。

お茶をいれてくださいました。

 

お客様には言いました。

「私たちのために開けておいてくれたんだよ。」って。

 

お客様、このおもてなしの心に打たれたみたい。

 

「今日は人の優しさ、真の日本人に触れられて嬉しかったよ。

最悪な状態って、人の本当の姿見えちゃうからね。

日本人は本当に素晴らしい」って。

 

ありがとう。

静岡の皆さん、静岡の皆さんのおかげで、最悪の日がいい思い出の日になりました。